ザイマックス・リート投資法人

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Climate Change気候変動への対応

気候変動に対する本投資法人の認識

「パリ協定」(2015年)、「IPCC特別報告書」(2018年)、「IPCC第6次評価報告書」(2023年)などで示されるように、気候変動の進行は科学的事実となっています。気候変動を緩和するための全世界的な取組みとして、温室効果ガスの排出削減に向けた枠組みの設定や排出規制の強化など、社会経済の脱炭素化への移行に向けた動きが加速しています。
ザイマックス・リート投資法人(以下、「本投資法人」といいます。)は、気候変動の進行は自然環境と社会構造に劇的な変化をもたらし、本投資法人の経営とビジネス全体に重大な影響を与える課題と認識します。
以上を踏まえ、本投資法人は気候変動およびレジリエンスに関する基本方針およびコミットメントを定め、「ネットゼロ」を2050年までに達成するため、様々な取組みを行っていく重要性も認識しています。

TCFDの考えへの賛同(およびTCFDコンソーシアムへの参加)

本投資法人の資産運用会社である株式会社ザイマックス不動産投資顧問(以下「本資産運用会社」といいます。)は、2023年3月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」の考えへの賛同を表明しました。
TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、気候関連財務情報開示タスクフォース)とは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された国際イニシアティブです。
TCFDは、企業等に対し、気候変動関連リスク及び機会に対する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について開示することを推奨する提言を公表しています。
また、本資産運用会社は、「TCFD提言」の考え方への賛同を表明すると共に「TCFDコンソーシアム」に加入しました。
「TCFDコンソーシアム」とは、国内のTCFD賛同企業や金融機関等が一体となって取組みを推進し、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取組みについて議論する目的で設立された組織です。
本投資法人は、「TCFD提言」の考え方への賛同機関として、また、投資主をはじめとする本投資法人のステークホルダーに対する説明責任を果たすため、本投資法人に係る気候関連情報についての開示を、積極的に進めます。

TCFDが推奨する開示項目

開示項目 開示内容
ガバナンス 気候関連リスク及び機会に関する当該組織のガバナンス
戦略 組織の事業・戦略・財務計画に対して気候関連リスク及び機会が与える実際の影響及び潜在的な影響
リスク管理 気候関連リスクを組織が識別・評価・管理するプロセス
指標と目標 気候関連リスク及び機会を評価・管理するための指標と目標

気候変動に関するガバナンス

本投資法人は、本資産運用会社に関連する気候関連のリスクと機会に対応するために、気候関連課題に係る最高責任者を代表取締役社⾧であるESG最高責任者、気候関連課題に係る執行責任者を公募投資運用部門長であるESG執行責任者として定めます。
気候関連課題に係る執行責任者は、本資産運用会社のESG推進委員会において、気候変動による影響の識別、評価、リスクと機会の管理、適応と緩和に係る取組みの進捗状況、指標と目標の設定等の気候変動対応に関する事項を、気候関連課題に係る最高責任者に対して、定期的に報告します。
報告された内容は、ESG推進委員会に於いて審議、検討した上で、気候関連課題に係る最高責任者により意思決定を行います。

詳細は「ESG推進体制」をご参照ください。

戦略

本投資法人は、気候関連のリスクと機会が本投資法人の経営活動、戦略、財務計画に与える影響を識別、評価、管理するためのプロセスを定め、これを適切に運用します。
気候関連のリスクと機会の識別、評価にあたっては科学的、学術的知見を活用し、体系的かつ客観的に行うことを目指すものとします。

主な採用シナリオ

本投資法人は、シナリオ分析にあたってIEA及びIPCCが作成した以下のシナリオを参照しました。

分類 機関 4℃シナリオ 1.5/2℃シナリオ
移行リスク IEA:International Energy Agency - IEA NZE2050
(国際エネルギー機関)
物理的リスク IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change SSP5-8.5 SSP1-1.9
(国連気候変動に関する政府間パネル)

本投資法人の想定する各シナリオの世界像

今回行ったシナリオ分析は、本投資法人が2025年3月時点で保有する資産を対象としています。

【1.5℃シナリオ】

1.5℃シナリオは、気候変動抑制のため、2050年までのネットゼロ達成に向けた取組みとして、法規制や税制が厳格化されるシナリオです。
GHG排出量の減少により気温上昇が抑えられ、相対的に物理的リスクは低く、移行リスクは高いシナリオです。

気候・気象 ステークホルダー
行政 PM、BM テナント 投資家・金融機関
  • 風水害の増加等慢性的な気候変動が一定程度進行
  • 炭素税、エネルギー規制の制定
  • GHG排出量報告の強化
  • テナントへの省エネ喚起
  • 法規制対応の増加
  • 環境性能の高い物件のニーズ増加
  • 投資判断のための気候リスク関連の開示要求の拡大
  • グリーンファイナンスの活発化

【4℃シナリオ】

4℃シナリオは、気候変動対策が進まず、法規制や税制が厳格化されないシナリオです。
GHG排出量の増加による自然災害の増加・激甚化の影響により、相対的に物理的リスクは高く、移行リスクは低いシナリオです。

気候・気象 ステークホルダー
行政 PM、BM テナント 投資家・金融機関
  • 平均気温の上昇に伴う自然災害の増加
  • 海面上昇の進行
  • 防災、減災に関する法規制が強化される
  • BCP対応・訓練・非常時の備品の準備等の気象関連の災害への備え
  • 気候関連戦略の懸念増大
  • 安全性の高い物件のニーズ増加
  • 気候関連の戦略に対する懸念の増大

リスク及び機会の特定

本投資法人は、シナリオ分析を踏まえてリスクと機会の特定とそれらの事業への影響を以下のように評価しました。財務的影響については、前述の各シナリオを参照しながら定性的に評価を行いました。

分類 不動産運用
における関連
当ファンドへの
財務的な影響
財務的影響 リスク管理、
対応策、取組み
4℃シナリオ 1.5/2℃シナリオ
中期 長期 中期 長期
移行
リスク
政策と法 炭素税の導入 物件のGHG排出量に対する税負担等の増加
  • 再生可能エネルギーの活用
  • GHG排出量削減目標の設定(2018年比2030年までに50%削減)・モニタリング
  • 既存建物の省エネ改修工事
  • 設備更新時の省エネ対応機器導入
既存不動産における省エネ基準の強化 保有物件の設備陳腐化、改修費用の負担増加、低性能建物の収益性・資産価値低下や法令厳格化に伴う賦課金等の発生
  • 既存建物の省エネ改修工事
  • エネルギーデータ管理の精緻化
  • ESG取組みに係るテナントへの啓発活動
  • グリーンリース推進
  • エネルギー消費の見える化推進
排出量報告の強化 報告に対応するための外部業者への支払等の事業経費の増加
  • Scope1~3に対応するエネルギーデータの把握
  • エネルギーデータの正確性確保のための第三者保証の導入
技術 省エネルギー技術の進化・普及、低炭素技術の進展 省エネ性能の高い設備の普及による設備更新費用増加
  • 既存建物の省エネ改修工事
  • 高効率設備への改修
  • 新技術に対する導入費用把握
市場・評判 物件運営管理における光熱費(再生可能エネルギーの外部調達を含む) エネルギー調達コストの増加
  • 既存建物の省エネ改修工事
  • BEMS、BAS等の導入・更新
  • スマートメーター(自動計測メーター)の導入
環境性能の低い物件に対するテナント需要・不動産取引需要の低下 新規テナント、入居者の獲得が難しくなることや空室率の増加による賃料収入の減少
  • 環境性能向上につながる設備改修の実施
  • テナントアンケートを通じたニーズの把握
  • ニーズに応じた環境性能設備の導入・検討
  • ESG対応の充実と開示による透明性の確保
投資家・金融機関のESG評価・投融資スタンスの厳格化 ESG意識が高い投資家やレンダーからの評判の低下・金融機関等からの資金調達条件の悪化
  • ESG対応の充実と開示による透明性の確保
  • 各種ESG評価(GRESB等)への積極的な参加
  • 環境認証・省エネ格付け取得面積比率の向上
  • グリーンファイナンスの実施
  • 省エネ性能に優れたポートフォリオの構築
  • 再生可能エネルギーの導入
物理的
リスク
急性 風水害の激甚化による損害の増加 修繕費、保険料の増加、退去増加による稼働率低下、賃料減額、未収金増加、営業保証の発生
  • ハザードマップに基づくリスクアセスメントの実施
  • ソフト面(避難訓練等)ハード面(防水板設置等)の災害対策実施
  • 保有物件における非常用設備の充実
  • ポートフォリオのエリア分散
集中的豪雨による内水氾濫や近傍河川の氾濫等による浸水
慢性 平均気温の上昇 空調関連費用、水光熱費用の増加
  • 省エネ機器、エネルギー管理システムの導入検討
  • 高効率空調設備の導入と適切な空調制御
  • 設備点検の強化
  • テナントとの省エネ活動の推進
  • 節水型機器の導入
  • ポートフォリオのエリア分散
海面上昇の進行 海面上昇への対策にかかるコストの増加
  • ポートフォリオのエリア分散
  • 高リスク地への投資の制限
機会 資源の効率 高効率設備への改修等に伴うエネルギー利用の効率化 エネルギーコストの削減
  • 高効率設備への改修
  • テナントとの協働によるグリーンリース契約の締結
製品、
サービス
低排出な設備や環境性能の高い物件へのテナントニーズの増加 テナント、入居者誘致による収入増加
  • 既存建物の省エネ改修工事
  • 環境認証・省エネ格付の取得及び更新
市場 テナントの嗜好の変化に合わせた賃貸物件を継続的に提供 賃料引き上げ、テナントや入居者の獲得による収入増加
  • 環境性能向上につながる設備改修の実施
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 環境認証・省エネ格付の取得及び更新
新規投資家層の開拓 グリーンボンドの活用、環境問題を重視する投資家への対応・訴求による資金調達量の増加、調達コストの低下
  • 環境認証・省エネ格付の取得及び更新
  • ESG対応の充実と開示による透明性の確保
環境性能に関する社会的価値観の変化 グリーンファイナンスによる資金調達コストの低下
  • 積極的なグリーンファイナンスの活用
グリーン性能向上による資産価値の向上 グローバルな評価機関からの高評価獲得により機関投資家の投資意欲が向上
  • 継続的な環境認証・省エネ格付の取得及び更新
レジリエンス 防災性能向上による気候関連リスクへの適応能力向上 災害対応による事業停止リスクの低下
  • ハザードマップに基づくリスクアセスメントの実施
  • ソフト面(避難訓練等)ハード面(防水板設置等)の災害対策実施
  • テナントへの防災情報の提供
  • ポートフォリオのエリア分散
  • BCP策定等による被災リスクの軽減
  • ESG対応の充実と開示による透明性の確保
中期:2030年、長期:2050年と定義する

リスク・機会の管理

本投資法人は、識別された気候関連のリスクと機会を管理し、レジリエンスを高める取組みを推進することにより、本投資法人の事業上のリスクの低減と価値創出の機会を実現し、持続可能かつ安定的な収益を長期的に確保することを目指します。
以下のように管理プロセスを定め、リスクの軽減と機会の実現に取り組みます。

  • 気候関連課題に係る最高責任者は、ESG推進委員会で審議された事業、財務計画上重要な優先順位の高い気候関連のリスクおよび機会について、対応担当部署または担当者を指定し、その対策案の策定を指示します。
  • 指定された担当部署あるいは担当者が策定する対策案は、その内容に応じてESG推進委員会あるいは社内の適切な委員会等の会議体において審議の上、実行するものとします。
  • 気候関連課題に係る最高責任者は、事業、財務計画上重要な気候関連リスクを既存の全社リスク管理プログラムにおいても考慮するよう指示し、リスクの識別、評価、管理プロセスの統合を図ります。

指標と目標

本投資法人は、気候関連のリスクと機会を管理するための以下の指標と目標を設定し、指標に関しては本投資法人の運用戦略と総合的リスク管理との整合性にも注意を払っています。
また、設定した目標と、目標に対する実績を含めて開示を行っています。

詳細は「環境への取組み」のページをご参照ください。

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